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GPA3.0未満・地方国公立から東大院に外部合格するまで — 3月〜8月に実際にやったこと(体験記)

このページは、地方の国公立大学の理系学部から東大院の生命環境科学系〈広域科学専攻〉を外部受験し、2024年に合格した運営者「おちゃ」の体験記です。学部のGPAは3.0に届かず、予備校には通わず、専門科目の対策に使えたのは情報収集を含めて実質1か月(机に向かった時間だけなら2週間)。その条件で3月から8月まで何をして、いくらかかり、当日はどうだったのかを月ごとに書きます。原文にあたる詳しい体験記は運営者のnote(無料)にあり、この記事はそこに書いた事実をこのサイト向けに整理し直したもので、原文にはない月別の費用表、各工程と当サイトのツールの対応、出典欄をこの記事で加えています。

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書いた人: おちゃ(東大院 生命環境科学系〈広域科学専攻〉在籍の大学院生)。地方の国公立大学から外部受験し、2024年に合格。このページは、自分の受験で実際に必要だった計算と段取りをもとに作り、公表資料の更新に合わせて見直しています。運営者情報

先に断っておくこと: 「1か月で受かる方法」の紹介ではありません

最初に書いておかないとフェアではないので。周りの合格者を見た感じでは、TOEICと専門の筆記を合わせて4〜5か月かけるのがふつうのペースで、私の「実質1か月」は追い込まれてから本気になった結果にすぎません。同じやり方はすすめません。それでも書くのは、受験を考え始めたころに欲しかった情報がどこにもなかったからです。検索してもヒットするのは予備校の広告と華やかな合格体験記ばかりで、「何を、いつから、どれだけやれば届くのか」「しんどい時期をどう乗り切ったのか」という肝心な部分が抜けていました。あのころの自分が読みたかったものを、数字つきで残しておきます。

私の条件をまとめると次のとおりです。地方国公立の理系学部の学生で、学部のGPAは3.0未満。成績で押し切れるタイプではありませんでした。志望は東大院の生命環境科学系〈広域科学専攻〉、併願は大阪大学。予備校なし、対策費は合計で5万円弱。試験は7月の筆記のあとに口述(面接)という順番で、7月から8月にかけて行われました。

外部受験を決めた理由は、突き詰めると研究室です。学部の研究を続けるうちに、もう一段ちがう方向でやってみたいテーマが見えてきて、その方向の研究室を探すと学内にはなく、東大の生命環境科学系にありました。研究室が先に決まっていたので、「外部は不利」という一般論より、「そこで研究するには受けるしかない」という順番です。面接で「学部の研究と大学院でやりたいことは違うよね?」と聞かれたのも、この選び方の裏返しでした(答え方は面接の記事に書いています)。環境を変えたい気持ちも正直ありましたが、それだけなら受けていなかったと思います。

月ごとにやったこと・かかった費用・使ったもの

まず全体を1枚の表にします。費用は対策にかかった実費で、出願の検定料と交通費は別枠です(下の「併願と費用」の節で扱います)。

時期やったことかかった費用使ったもの(当時)
3月後半情報収集。筆記で必要な科目、TOEICスコアの要否、候補の研究室を洗い出す。TOEICの申し込みを先に済ませる0円(TOEIC受験料は3〜6月の行に計上)研究科の募集要項、研究室のサイト
4月志望研究室に訪問のメール。返信がなく1週間後に同じスレッドで再送。訪問して先生の説明を聞き、在学生から試験の情報をもらう交通費のみ(地方→東京。金額は省略)研究室サイトに載っている先生のメールアドレス
3〜6月TOEIC L&Rを月1回ペースで計4回受験。600点台後半から800点台へ受験料4回分 約3万円+教材・アプリ 約1.5万円ETSの公式問題集、金のフレーズ、でる1000、abceed
6〜7月専門科目の筆記対策。過去問を読んで頻出分野を絞り、教科書を引きつつ自力で解答を作る。最後に時間を計って解く0円(教科書は学部時代のものを流用)公式サイトの過去問PDF、Essential細胞生物学、ヴォート基礎生化学
7〜8月本番。筆記(180分・3問選択)のあとに口述。併願校の手続きもこの時期検定料(国立は1校3万円が相場)+交通費志望理由書の控え、自作の解答ノート

対策費の合計は5万円弱(TOEIC受験料 約3万円+教材・アプリ 約1.5万円+教科書 0円)。検定料・交通費・宿泊費は含みません。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。

当時はこのサイトのツールはまだなかったので(公開は2026年)、「使ったもの」は募集要項と研究室サイトと教材だけです。いまやり直すなら、3月の時点で院試逆算スケジューラーに試験日を入れて、TOEICの最終受験日と訪問時期を先に固定します。以下、各行で何を考えて動いていたかを順に書きます。

3月後半: 情報収集と、何より先に「TOEICの申し込み」

動き出したのは3月の後半でした。調べたことは3つ。筆記でどの科目が出るのか、英語はTOEICのスコア提出で足りるのか(それともTOEFLが要るのか)、どの研究室を志望するのか。この段階で私がやったなかで、いちばん正しかったと思う判断は、他が何も固まっていないうちにTOEICの申し込みだけ済ませたことです。

理由は単純で、公開テストは月1〜2回(2026年度は年18回)しかなく、申込締切も早いからです。専門科目は詰め込みが利いても、TOEICの日程だけは自分の都合で増やせません。「あと2回受ければ届きそうなのに、もう回がない」という詰み方をしないよう、3月から6月の回を押さえて4回受ける前提で組みました。逆算の考え方は院試スケジュール逆算ガイドにまとめています。

4月: 研究室訪問。返信が来なくても1週間後に同じスレッドで再送

4月に志望研究室へ訪問のお願いを送りました。研究室サイトにある先生のアドレスへメールを1通書くだけなのに、最初の一文が出てこなくて30分ほど固まった記憶があります。件名と本文の型は研究室訪問メール作成ツールで作れますが、文面は自分の言葉に直してから送ってください。

返信はすぐには来ませんでした。先生は忙しく、メールが埋もれるのは珍しくありません。1週間待って同じスレッドにもう一度送りました。たいていは埋もれているだけなので、角が立つことはありません。

訪問の収穫は2つ。1つは先生から直接聞いた研究内容と設備の説明。もう1つ、こちらが本当の目的だったのが、在学生から聞けた試験の具体的な情報です。過去問の入手先、よく出る分野。こういう話は外からはまったく見えません。在学生と連絡先を交換しておけば、後日質問できる窓口ができます。私はこれに何度も助けられました。

もうひとつ、行かないと分からないのが研究室の空気です。コアタイムの有無、忙しさが健全な範囲か、学生どうしが話しているか。交流が乏しく空気の重い研究室は、入学後にじわじわ響くので、自分の目で確かめておく価値があります。当日に聞くことのリストは研究室訪問ガイドに載せました。「もう遅いのでは」と迷っている人へ。試験の1か月前に訪問していた人もいたので、手遅れではありません。

3〜6月: TOEICを4回受けて、600点台後半から800点台へ

1回目のスコアは700点に届かず、600点台後半でした。そこから月1回ペースで受け続け、4回目までに800点台まで上がりました。目安は3段階で、650点が「これを下回ると不利になり始める」最低ライン、750点前後が周りの平均、800点台が「あると精神的に楽」な理想です。東大だからといって特別に高いスコアが必要なわけではなく研究科次第ですが、TOEICの配点比率が大きい方式や、筆記試験がなく面接とTOEICだけで決まる方式なら750点は確保したいところです。

教材は4つだけ。軸はETSの公式問題集で、本番を作っている団体の問題集なので問題の雰囲気やリスニングのテンポがそのまま本番です。単語は『金のフレーズ』1冊をabceedというアプリで、移動中に回す。文法の『でる1000』は分厚いので途中までで、TOEICで点を稼ぎたい人や900点狙いの人向けだと思います。abceedなら単語帳も音源もスマホ1台で済むので、机に向かえない時間を丸ごとTOEICに使えました。

やり方は、週1回、公式問題集を1セット、本番どおりの2時間を計って通しで解き、残りの時間を復習に使う。間違えた問題は「単語を知らなかった」「読むのが遅くて時間切れ」「聞き取れなかった」の3つに分類して、翌週は最も多かった原因1つに絞って対策します。一度に全部を直そうとしたときは、結局どれも身につきませんでした。これに加えて、毎日30分の単語とリスニングを移動中に入れる。投入時間はこれだけです。

経験として言えるのは、スコアは一直線には伸びないということ。伸び悩む回が必ずあり、1回目は場慣れで終わるので、4回受ける前提で組んでおく。必要な週あたりの勉強時間はTOEIC目標スコア逆算ツールで出せます。詳しい中身はnoteのTOEIC記事(無料)に書きました。

6〜7月: 筆記対策は実質1か月。過去問→教科書で自作解答→頻出分野→時間を計る

正直に書くと、学部の授業と定期試験をこなしてきただけの状態では、過去問には歯が立ちませんでした。最初に過去問を開いた日は、手が出ない問題がずらりと並んでいて、「間に合わないのでは」と頭が真っ白になったのを覚えています。

ただ、数年分をまとめて眺めると印象が変わりました。出題される分野に、はっきりした偏りがあるのです。生物の場合、この専攻では分子生物学・細胞生物学・遺伝学・発生生物学・生理学のあたりで、アミノ酸やタンパク質の構造、光合成、輸送体といったテーマは名前ではなく仕組みまで説明できる必要があります。しかも知識の暗記だけでなく、実験の結果やグラフを読み取って考察させる記述が中心。「生物学を全部仕上げる」のではなく「よく出る分野を記述で説明できるようにする」ゲームなのだと気づいた時点で、やるべきことは一気に絞れました。

手順を一言でいうと、過去問の分析 → 教科書で調べつつ自力で解答を作る → 頻出分野を重点的に固める → 最後に時間を計って解く、という順序です。最も重要なのは「調べながら自力で解答を作る」工程で、苦労して組み立てた解答は忘れにくい。逆にここをAIに丸投げすると、見た目のいいノートだけができて力がつきません。教科書は生物系は『Essential細胞生物学』、生化学は『ヴォート基礎生化学』で足りました。どちらも東大の内部生が使う定番と同じなので、教材の面で外部生が不利になることはありません。過去問は生命環境科学系の公式サイトで公開されているので、入手にも困りませんでした。

数字でも書いておきます。過去10年分の理系の設問を数えると114問で、内訳は物理35・化学生化学36・生物43です。現行形式(令和6年度以降)は物理2問・化学生化学3問・生物4問の計9問で、本番は180分で3問を選ぶので単純計算で1問60分です。生物の比重が大きいので、生物を厚めに、物理と化学は頻出テーマを固める配分にしました。10年分を転記して数えた作業は過去問10年分の分析記録に書いています。

併願(大阪大学)と、実際にかかったお金

併願先は大阪大学でした。併願で最初に見るのは日程の重なりです。東大の生命環境科学系は筆記が7月中旬〜下旬の土曜(私の年は2024年7月20日)で、口述がそのあとに続きます。夏の院試は8月中旬〜9月上旬に集中する研究科が多いので、東大が先に来る並びになり、8月以降に試験のある研究科となら重ねずに組めます。参考までに、大阪大学 理学研究科 生物科学専攻の一般入試1次募集は、2026年実施分で出願が7月6日〜9日、試験が8月1日〜2日、合格発表が8月7日(同専攻の入試情報ページ)で、東大 生命環境科学系の筆記(2026年7月18日)と口述(7月28日〜8月3日)の直後に来る並びです。私の年も東大の筆記が先に来る順番で、東大の結果を待たずに併願先の出願と準備を進める必要がありました。日程は毎年動くので、具体的な日付は受験年度の募集要項で確認してください。候補校を並べて試験の重なりと入金期限を見るには院試併願カレンダーが使えます。

お金の実際はこうです。TOEICの受験料が4回分で約3万円(1回7,810円)、TOEICの教材とabceedの課金が約1.5万円、専門の教科書は学部で使っていたものをそのまま使ったので0円。対策費の合計は5万円弱です。これに出願の検定料(国立大学院の修士課程は1校3万円が一般的で、2校なら6万円)と、地方から東京・大阪への交通費・宿泊費が乗ります。予備校に通わなくてもこの程度で戦えます。自分の条件での総額は院試費用シミュレータで出せます。

当日の実際: 筆記は180分で3問、面接は「一緒に研究できるか」の確認

筆記は2024年7月20日の9時30分から12時30分までの180分。問題冊子には物理・化学生化学・生物の9問に加えて生命環境科学系の他分野(身体運動科学・認知行動科学・神経科学)の問題も綴じられていて、全体から3問を選ぶ形式です。生物系の受験なら実質この9問から3問。1問60分の配分で、記述なので途中の過程まで書き切る必要があり、対策の最後に「時間を計って解く」工程を入れていたのはこのためです。

口述で受けた質問は、学部の研究内容と、この研究室を選んだ理由、といった王道のものが中心でした。いちばん冷や汗が出たのは「学部の研究と、大学院でやりたいことは全然違うよね?」という一言で、外部受験ならほぼ確実に来ると思っておいたほうがいいです。私の答えは「土台は同じ分子生物学で、興味がそこから広がった」という趣旨。興味の一貫性と、何かしら共通する点を一言で示せれば、それ以上は掘り下げられませんでした。服装は襟付きのきれいめな私服で行きましたが、不安ならスーツにしておけば無難です。面接の質問と志望理由書の書き方は面接で聞かれたことと志望理由書の記事に分けて書きました。

そして合否の感触ですが、ほぼ筆記で決まっていたと思います。面接は「この人と一緒に研究できるか」を確かめる場に近く、必要以上に恐れることはありません。準備の時間配分を筆記に寄せたのは、この意味でも正解だったと思っています。

振り返り: いちばんしんどかったことと、外部受験のあなたへ

きれいごと抜きで書くと、不安は最後まで消えませんでした。TOEICの点数が上がらなかった回。初めて過去問に向き合って、あまりのできなさに固まった日。落ちたら次はどうするのか、と考え込んでしまう夜。そこで学んだことは1つだけで、どんなにしんどくても手を止めず、その日の分をやりきること。やりきってから友達や家族と話すと、少しだけ落ち着きました。魔法のような解決法はなく、不安で手が止まる日を一日も作らなかったことが、振り返ると合否を分けたのだと思っています。

外部受験でいちばん怖いのは、内部生だけが知っている情報があるのではないか、という疑いだと思います。外部から入った立場で出した結論は「差はない」です。教科書は同じものを使い、過去問は公開されていて、傾向は訪問時に在学生から聞けます。情報の差は、動けば埋まり、動かなければ埋まりません。

これから準備する人が今日やることは2つ。受ける可能性のある研究科の試験日を院試逆算スケジューラーに入れてTOEICの最終受験日を確認すること、そして月ごとの表を自分の志望先の募集要項・研究室サイト・過去問に置き換えて、同じ順番で動き始めることです。院試のツール一覧は院試ツールまとめにあります。

よくある質問

GPAが3.0未満でも東大院に合格できますか?

運営者は学部のGPAが3.0に届かない状態で、2024年に東大院 生命環境科学系〈広域科学専攻〉に外部合格しました。理系の専攻の多くは筆記試験の比重が大きく、GPAは出願資格や書類の参考として見られる程度です。ただし推薦入試や、GPAに要件を設けている専攻では扱いが変わるので、志望先の募集要項で確認してください。

外部受験の対策はいつから始めるべきですか?

周りの合格者を見ると、TOEICと専門の筆記を合わせて4〜5か月かけるのが平均的です。運営者は専門の対策が実質1か月でしたが、追い込まれた結果であっておすすめはしません。何が決まっていなくても、公開テストが月1〜2回(2026年度は年18回)しかないTOEICは、申し込みだけでも先に済ませておくのが安全です。

予備校なしだと費用はいくらかかりますか?

運営者の対策費はTOEIC受験料4回分が約3万円、TOEICの教材とアプリ課金が約1.5万円、専門の教科書は学部時代のものを流用して0円で、合計5万円弱でした。これとは別に、出願の検定料(国立の修士課程は1校3万円が一般的)と受験地までの交通費がかかります。

研究室訪問は行かないと不利ですか?

形式上は任意ですが、外部受験では在学生から聞ける情報(過去問の入手先、よく出る分野)が決定的に効きます。運営者は4月に訪問しましたが、試験の1か月前に訪問していた人もいたので、手遅れではありません。

出典・参照情報

作成・確認: 運営者「おちゃ」(ペンネーム)。最終確認日: 2026年9月12日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご指摘ください。