院試の面接で聞かれた質問と答え方、志望理由書で本当に見られていたこと — 東大院 外部受験の記録
院試の面接(口述試験)がこわいのは、何を聞かれるか分からないからです。この記事は、地方国公立の理系学部から東大院の生命環境科学系〈広域科学専攻〉を外部受験して2024年に合格した運営者「おちゃ」が、面接で聞かれたことと答え方、志望理由書を書いて出したときに「本当に見られていた」と感じた点、想定問答の作り方、当日の持ち物と流れをまとめたものです。受験全体の流れは3月〜8月の体験記に、原文にあたる詳しい記録は運営者のnoteの体験記(無料)にあります。この記事だけの要素として、想定問答の表(質問/狙い/答え方の型)、志望理由書チェッカーとの対応、出典欄を加えています。
先に結論: 合否はほぼ筆記で決まり、面接は「一緒に研究できるか」の確認
私の受験の感触では、合否はほぼ筆記で決まっていました。面接は、筆記を通った人について「この人と一緒に研究できるか」を確かめる場に近く、ここで逆転が起きる印象はありません。だから面接を過度に恐れる必要はないのですが、準備ゼロで臨んでいいという意味でもありません。外部受験には、ほぼ確実に聞かれる特有の質問が1つあり、それに詰まると印象が悪くなります。この記事の目的は、その質問を含めて「聞かれることを先に知っておく」ことです。
時期の目安も書いておきます。生命環境科学系では筆記のあとに口述があり、2027年度入試(2026年度実施)の日程は筆記が7月18日、口述が7月28日から8月3日(オンライン)と公表されています。筆記までの時間は筆記に寄せて構いません。面接の準備は、志望理由書を書いた段階で骨格ができているので、筆記が終わってから口述までの期間で想定問答を仕上げれば間に合う分量です。
面接で聞かれたこと(実際に聞かれた3つ+定番の2つ)
私の面接で実際に聞かれたのは、1〜3のいわゆる王道の質問でした。4と5は聞かれる定番として答えを用意していた質問です。5つに整理して、それぞれ「狙い」と「答え方の型」を書きます。
1. 学部での研究内容
最初に来る質問です。見られているのは、自分のやってきた研究を自分の言葉で説明できるかどうか。面接官の専門が自分の分野と近いとは限らないので、「何を明らかにしたかったのか」「どういう方法で」「何が分かったのか」「そのうち自分が担当したのはどこか」を、専門用語を一段かみ砕いて1〜2分で話せるようにしておきます。卒業研究が途中なら、途中であることを言ったうえで、現時点の結果と見通しを話せば十分です。
2. なぜこの研究室なのか
研究室のサイトや論文を読んで、その研究室が現在どんな研究を進めているかを把握しているかが見られます。答えは「研究室の具体的なテーマ」と「自分の興味」の接点を1つに絞るのがコツで、研究室訪問で聞いた話に触れられると説得力が上がります。「先生の研究に興味があります」だけでは、研究室のサイトを要約しただけに聞こえてしまいます。
3. 「学部の研究と、大学院でやりたいことは全然違うよね?」
私がいちばんヒヤッとした質問で、外部受験ならまず間違いなく聞かれると考えておいてください。学部の研究室と大学院の研究室が別なので、テーマが変わるのは当然なのですが、面接官が見ているのは「その変化に一貫した理由があるか」です。私の答えは「土台は同じ分子生物学で、興味がそこから広がった」という趣旨でした。共通する土台をまず言い、興味が広がった経緯を続ける。興味の一貫性と、何かしら共通する点を一言で示せれば、それ以上は掘り下げられませんでした。
4. 修了後の展望
博士課程に進むのか、就職するのか。これも定番の質問で、聞かれる前提で用意しておきます。決まっている必要はありませんが、「考えていません」は避けたほうがいい。現時点での第一候補と理由、そして修士でやることがそこにどうつながるかを1つ言えれば足ります。迷っているなら、比較している2つの案をそのまま話しても問題ありません。
5. 併願状況
他にどこを受けているか、という質問です。正直に答えるのが基本で、併願していること自体が不利になることはまずありません。聞かれているのは入学の意思なので、こちらが第一志望ならその理由を研究内容ベースで一言添えます。私の併願先は大阪大学でした。志望理由書と面接の答えで「なぜこの研究室か」が研究内容で説明できていれば、併願の有無で揺さぶられる余地は小さくなります。
志望理由書で本当に見られていたこと
面接の質問を並べると気づくと思いますが、2番・3番・4番はすべて志望理由書の内容から派生しています。つまり志望理由書は、書類審査のためというより、面接の台本として機能します。ここで私が「本当に見られていた」と感じた点は3つです。
第一に、志望研究室の研究に接続していること。これが最重要でした。研究室がいま何を研究しているかを調べて、自分の興味と学部での経験がそこにどうつながるかを書く。抽象的な熱意よりも、この接続の1〜2文が読まれます。第二に、完璧な研究計画は要らないこと。入学後に研究テーマが変わることは多く、人生を賭けた計画を書く場ではありません。背景、問い、目的、方法、意義、計画という王道の順番で骨格を組み、細部より筋の通り方を優先します。第三に、面接で口頭で説明できる内容になっていること。書いたことは全部聞かれる可能性があるので、書けても話せない内容は入れないほうが安全です。
書く順番は、志望理由書なら「志望動機(研究室の研究との接点)→学部研究との接続→入学後にやりたいこと→修了後の展望」、研究計画書なら「背景・問い・目的・方法・意義・計画」の順が型です。書き上げたら、私はAIに添削してもらいました。添削で見るべき観点は、研究室の研究への接続が具体的に1文以上あるか、「興味がある」「貢献したい」だけの抽象語で終わっている段落がないか、学部研究との共通点が明示されているか、面接で口頭説明できるか、の4つです。提出前の機械的なチェックは志望理由書チェッカーで、なぜ大学院か・なぜこの研究室か・これまでとの接続・入学後の計画・修了後の展望の5要素が入っているかを確認できます。
想定問答リスト(質問/狙い/答え方の型)
この表をそのまま自分用に組み替えて、メモを書き込み、声に出して練習できるツールも用意しました(面接シミュレーター)。研究キーワードと卒論テーマを入れると、下の「答え方の型」にその言葉が埋め込まれます。
上の5つに、志望理由書から派生しやすい深掘りと逆質問を加えた9項目です。答えを丸暗記するのではなく、「狙い」に応える型を押さえて、自分の言葉で埋めてください。
| 質問 | 狙い | 答え方の型 |
|---|---|---|
| 学部での研究内容を教えてください | 研究の中身を自分の言葉で説明できるか。専門外の教員にも伝わるか | 何を明らかにしたくて(背景と問い)→どうやって(方法)→何が分かったか(結果)→自分の担当はどこか、を1〜2分で。専門用語は一段かみ砕く |
| なぜこの研究室を志望したのですか | 研究室の研究を調べているか。動機が研究室の内容と接続しているか | 研究室のテーマ(論文・サイトで確認した具体的な内容)と自分の興味の接点を1つに絞って言う。訪問で聞いた話があれば触れる |
| 学部の研究と、大学院でやりたいことが違いますよね? | テーマ変更の理由に一貫性があるか。思いつきではないか | 共通する土台(分野・手法・対象)を先に言い、そこから興味が広がった経緯を続ける。「違うが、つながっている」の形で短く |
| 修了後はどうする予定ですか | 博士進学か就職か、本人が考えているか。研究室の方針と合うか | 現時点の第一候補と理由、修士でやることがそこにどうつながるかを1つ。未定でも「考えていない」ではなく比較検討中の2案を言う |
| 他に受けている大学院はありますか | 入学の意思。併願の理由に整合性があるか | 正直に答える。併願先と志望順位、こちらが第一志望ならその理由を、研究内容ベースで一言添える |
| 志望理由書に書いた計画の、いちばん弱い点は? | 自分の計画を客観的に見られるか。指摘を受け止められるか | 弱点を自分から1つ挙げて、それをどう補うつもりか(学ぶこと・使う手法・相談相手)を続ける。守りに入らない |
| 入学したら最初に何を学びたいですか | 研究室で動き出すイメージがあるか | 研究室の手法や装置のうち未経験のものを挙げ、学部の経験とどう組み合わせるかを言う |
| 筆記で解けなかった問題はありましたか | 自己評価の正確さ。誠実さ | できなかった問題は正直に言い、あとで調べて分かったことを一言添える。取り繕わない |
| 何か質問はありますか(逆質問) | 研究室への関心の具体性 | 研究室訪問で聞けなかったこと(進捗報告の頻度、テーマの決め方など)を1つ。待遇や休みの話は避ける |
面接の方式(対面かオンラインか、人数、時間)は研究科と年度で変わります。上の表は運営者の2024年の受験と、一般的な口述試験の型をもとにしています。
想定問答の作り方: 志望理由書から「突っ込まれる場所」を抜き出す
作り方は4段階です。まず、提出した志望理由書を面接官の目で読み直して、「ここは聞かれそう」という箇所に印をつけます。テーマの変化、方法の妥当性、修了後の進路、この3か所は必ず印がつくはずです。次に、その1つ1つについて「面接官は何を確かめたいのか」という狙いを書き出します。狙いが分かれば、答えは自然と決まります。
三つ目に、答えを「結論→理由→具体例→研究室の研究との接続」の順に組み立てて、1つ1分以内に収めます。長い答えは、途中で切られたときに結論が伝わりません。最後に、声に出して練習します。黙読で作った答えは、口に出すと言いよどむ箇所が必ず見つかるので、そこを削って言い換えます。可能なら、学部の指導教員や先輩に聞いてもらって、「学部の研究と院の研究が違う理由」の説明が通じるかだけでも確認しておくと安心です。
当日の持ち物と流れ
持ち物は、受験票と身分証、提出した志望理由書・研究計画書の控え(提出したものと同じ版)、学部研究の要点を1枚にまとめた紙、筆記用具です。志望理由書の控えを持つ理由は、待ち時間に「自分が何を書いたか」を読み返すためで、面接中に見るためではありません。オンライン方式の年度なら、静かな部屋、安定した回線、カメラの位置、控えを手元に置くこと、事前の接続テストが持ち物の代わりになります。
流れは、入室と着席、学部研究の説明から始まって、志望理由と研究計画への質問、進路や併願の確認、最後に逆質問、というのが一般的な型です。私の面接も、聞かれた内容はこの型に沿った王道の質問が中心でした。服装は襟付きのきれいめな私服で行きましたが、不安ならスーツにしておけば無難です。オンラインでも上半身は同じ基準で整えておきます。
よくある失敗
自分の受験の反省をもとに、避けたい失敗を5つ挙げます。1つ目は、志望理由書と面接の答えが食い違うこと。書類では「Aの研究がしたい」と書いたのに、面接で「Bに興味がある」と言うと、どちらも本気に見えません。2つ目は、研究計画を丸暗記して棒読みすること。途中で質問を挟まれると止まります。3つ目は、「なぜこの研究室か」の答えが研究室サイトの要約で終わること。自分の経験との接点がないと、誰でも言える答えになります。4つ目は、併願状況で取り繕うこと。正直に言って困ることはほぼありません。5つ目は、面接対策に時間を使いすぎて筆記が薄くなること。合否の大部分は筆記で決まるので、面接の準備は志望理由書ができた時点で骨格が完成していると考え、仕上げは筆記の後に回して構いません。
まとめ: 準備の順番
順番は、研究室を調べて志望理由書を書く、筆記対策に集中する、筆記が終わったら志望理由書から想定問答を作って声に出す、の3段階です。志望理由書の段階で研究室の研究との接続がしっかりしていれば、面接で聞かれる5つの質問のうち3つはすでに答えが書いてあります。研究室訪問がまだなら、訪問メールの型は研究室訪問メール作成ツール、当日の質問リストは研究室訪問ガイドを使ってください。出願から試験までの全体の日程は院試逆算スケジューラーで逆算できます。
よくある質問
院試の面接では何を聞かれますか?
運営者が2024年の東大院 外部受験で受けた質問は、学部の研究内容、この研究室を選んだ理由、学部の研究と大学院でやりたいことが違う理由、といった王道のものが中心でした。修了後の展望や併願状況も定番なので、5つまとめて答えを用意しておくと落ち着いて臨めます。
学部の研究と大学院でやりたいことが違っても大丈夫ですか?
大丈夫です。外部受験ではほぼ確実にこの点を聞かれるので、共通する土台(運営者の場合は分子生物学)と、そこから興味が広がった経緯をひとことで言えるように用意しておきます。一貫した興味と共通点が伝われば、それ以上深掘りされないことが多いです。
志望理由書に完璧な研究計画は必要ですか?
必要ありません。入学後に研究テーマが変わることは多く、人生を賭けた計画を書く場ではないからです。それより、志望研究室がいま何を研究しているかを調べて、自分の興味と学部での経験がそこにどう接続するかを書くことが最重要でした。
面接の出来はどのくらい合否に影響しますか?
運営者の感触では、合否はほぼ筆記で決まっていて、面接は「この人と一緒に研究できるか」を確かめる場に近いものでした。ただし配点や方式は研究科で違い、面接とTOEICだけで決まる方式もあるので、志望先の募集要項で選抜方法を確認してください。
面接の服装はスーツでないとだめですか?
運営者は襟付きのきれいめな私服で受けました。指定がなければ私服でも問題ありませんが、迷うならスーツが無難です。オンライン面接の年度でも、画面に映る上半身は同じ基準で整えておきます。
出典・参照情報
- 面接で聞かれた質問・答えた内容・志望理由書の書き方・服装: 運営者の体験記(原文・無料)体験記の原文(note、無料)(2026年7月26日公開)。研究計画書の構成の型(背景・問い・目的・方法・意義・計画の順)は面接と研究計画書の対策ガイド(note、有料)のうち、無料で公開されている収録内容の説明部分を参照。
- 口述試験の日程・方式: 東京大学大学院 総合文化研究科(広域科学専攻・生命環境科学系)の「入試案内」ページ(2026年9月12日確認)の2027年度入試(2026年度実施)記載: 筆記 2026年7月18日、口述 2026年7月28日〜8月3日(オンライン)。
- 想定問答の表の「狙い」「答え方の型」は、運営者の受験経験と一般的な口述試験の型をもとに書いたもので、研究科ごとの実際の質問を保証するものではありません。
作成・確認: 運営者「おちゃ」(ペンネーム)。最終確認日: 2026年9月14日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご指摘ください。