TOEIC・TOEFLの比較表を公開後に作り直した話 — 何を間違え、どう直したか
当サイトのTOEIC・TOEFL・ITP換算の目安(CEFR対応)ページは、2026年8月17日に中身を作り直しました。公開していた対応区分が公式資料とずれていたためです。この記事は、その誤りの内容・原因・修正の全記録です。同じ轍を踏む人(そして自分)のために残します。末尾に、修正の3週間後にまた見つかった食い違いの続報(2026年9月)を追記しました。
何が間違っていたか
修正前のページは、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の区分をこう表示していました: TOEIC 120〜224がA2、225〜549がB1、550〜784がB2、785〜944がC1、945〜990がC2。
しかし、IIBCが公表している公式の対照では、TOEIC L&Rのスコアと CEFRの対応は120〜がA1、225〜がA2、550〜がB1、785〜がB2、945〜がC1です。つまり当サイトの表示は全区分が1段ずつ甘く、さらにTOEIC L&Rには存在しないC2を満点付近に割り当てていました(公式には、TOEIC L&Rが測定できるのはC1まで)。TOEFL側も、C1の上限を113ではなく114としており、境界が1点ずれていました。
数値の計算ミスではなく、参照した対応表そのものが公式と違っていた——性質としてはいちばん筋の悪い誤りです。
なぜ起きたか
原因は単純で、実装時に公式の一次資料(IIBC・ETSの対照表)を直接確認せず、広く出回っている換算の通説をもとに区分を書いたことです。当サイトは計算の内部整合を自動テストで検証していますが(検証の記録)、その仕組みは「実装同士が一致しているか」を見るもので、おおもとの前提が間違っていると素通しになります。前提の照合を怠った時点で負けが決まっていました。
もうひとつの見落としは制度変更です。TOEFL iBTは2026年1月21日の実施回から、従来の0〜120点に代わる1〜6(0.5刻み)の新スコアに移行していました。ページはこの変更に触れておらず、これから受験する人にとっては情報が古い状態でした。
どう直したか
①区分をIIBC・ETSの公表資料どおりに引き直しました(TOEIC L&RはA1〜C1、C2は対応なし。旧TOEFLはB1が42〜、C1は95〜113、C2は114〜120)。②TOEFLの新スケール(1〜6)での入力に対応し、ETSが公表する新旧スコアの対応(4.0=旧72以上、5.0=旧95以上、6.0=旧114以上など)を表として掲載しました。③ページの位置づけを「換算」から「CEFR共通帯の比較」に改めました。両試験に公式の直接換算は存在しないので、「TOEIC◯点=TOEFL◯点」という見せ方自体をやめています。④「実務レベル」「ネイティブに迫る」といった断定的な表現を、公式区分の記述に置き換えました。
再発防止として変えたこと
制度や公的数値に依存する全ページに「計算条件・参照情報」欄を設け、採用した数値・前提・最終確認日・公式一次情報へのリンクをページ内に明示することにしました。また、修正の内容は運営者情報の更新履歴に日付つきで残します。間違い自体をゼロにはできませんが、「何を根拠にしているかを利用者がその場で確認できる」「間違えたら隠さず記録する」という2つは今日から守れます。この記事もその記録の一部です。
続報: 2026年9月、直したはずの数値が本文に残っていた
ここまでが2026年8月17日の記録です。ところが続きがあります。2026年9月、サイト全体を院試向けに改修するのに合わせて全ページを点検したところ、比較ページの判定ツールと対照表は直っているのに、同じページの本文の説明文とFAQの一部に、修正前の古い区分(「225〜549点はB1」など)がそのまま残っているのが見つかりました。ツールを操作すれば正しい帯が出るのに、画面を下にスクロールすると古い数字が書いてある——1つのページの中で数値が食い違う状態が、8月の修正から3週間以上続いていたことになります。
原因ははっきりしています。8月の修正では、ツールの判定処理と対照表のデータは書き換えたものの、本文とFAQの文章は別の場所で手書き管理されていて、修正の対象一覧に入っていなかったのです。「同じ数値が、1つのページの中に何か所も別々に書かれている」という構造そのものが事故のもとでした。修正が2度手間になっただけでなく、8月の時点で「修正済み」とこの記事に書いていたのに、実際には直りきっていなかったわけです。
9月の対応では、ページ内の全文から旧区分の数値を検索して洗い出し、IIBCの公表区分(B1の下限は550点、785点からはB2)に合わせて本文・FAQ・ページに埋め込む構造化データの全箇所を修正しました。あわせて、FAQの見えている文章と構造化データの文章が一致しているかを機械的に突き合わせる点検を、全ページの検査項目に加えています。
2026年9月15日の追記。同じ「1ページ1ソース」の考え方で、もう1か所を直しました。ITP(TOEFL ITP)に関する数値が、比較ページとTOEFL ITPは院試で使える?の2ページに分かれて書かれていて、どちらが正なのかが決まっていない状態だったためです。テストの構成(セクションごとの問題数・解答時間・スコアの範囲)はITPの記事側を正とし、CEFRとの対応(総合・セクション別のカットスコア)は比較ページ側を正とする、と役割を分けました。同じ数値を両方に書くのをやめ、必要なときは相手のページへリンクしています。
このとき、ITPのセクションのスコアレンジをETSの公表ページで取り直したところ、リーディングだけ上限が67点で、リスニング・文法の68点より1点低いことが分かりました。3セクションとも31〜68だと思い込んだまま書いていたら、また誤りを1つ増やすところでした。加えて、ウェブ上で広く見かける「3セクションの合計を10倍して3で割る」という総合点の計算式は、ETSの公開ページで裏を取れなかったため書かないという判断をしています。「計算が合うから正しいはず」は一次資料ではない、というのが8月・9月の2回で学んだことです。
追加した運用ルール:「1ページ1ソース」
この続報から決めたルールが「1ページ1ソース」です。1つの数値について、ページの中で「正」とする場所を1か所に決め(比較ページなら対照表)、本文やFAQに同じ数値を書くときは、正の場所と突き合わせる検査の対象に入れる。数値を2か所に書いた時点で、その2か所は必ずいつかずれる——8月と9月、2回の修正で得た結論は、「直したつもり」という人間の記憶を信用しない仕組みにする、ということでした。同じ点検で他のページから見つかった食い違いは、数値検証の記録に書いています。
あわせて、読者の側で数値を検証できる手がかりもページに置いています。IIBCの対照はリスニングとリーディングの各セクションについてレベル別の最低点を公表する形式で、当サイトが表示する合計スコアの帯はその2つを足した値です。比較ページの「計算条件・参照情報」欄から公表資料そのものへ移動できるので、この記事に書いた数字も含めて、疑ったらその場で一次資料と突き合わせられます。間違いを2回出したページだからこそ、「信じてもらう」のではなく「確かめられる」状態にしておくのが筋だと考えています。
※修正後の区分・新旧スケール対応は、IIBC「TOEIC ProgramとCEFRとの対照」およびETSのTOEFL iBT公式情報に基づきます(修正時に照合。以後の確認日は下記)。出願要件は大学院ごとに異なるため、必ず募集要項でご確認ください。
よくある質問
Q. TOEICで測れるのはC1までというのは本当?
本当です。IIBCが公表している対照で、TOEIC L&Rが測定できるのはA1〜C1までとされています。C2に対応する区分はありません。TOEIC満点(990)でもCEFR上はC1の帯です。
Q. TOEFLの新スコア(1〜6)と旧スコアはどう対応する?
ETSの公表では、現行4.0が旧72以上、5.0が旧95以上、6.0が旧114以上に相当します。2028年1月までの移行期間中は、スコアレポートに新旧両方が併記されます。
Q.「修正済み」の後に、また間違いが見つかったのはなぜ?
2026年8月の修正がツールの判定処理と対照表だけを対象にしていて、同じページの本文とFAQの文章が対象から漏れていたためです。2026年9月の全ページ点検で発見し、全箇所をIIBCの公表区分に合わせました。現在は、同じ数値をページ内で二重管理しない「1ページ1ソース」を運用ルールにしています。
出典と確認日
- CEFR対応区分: IIBC「TOEIC ProgramとCEFRとの対照」(TOEIC L&Rが測定するのはA1〜C1。B1の下限は550点、785点からはB2)。
- TOEFL iBTの新スコアスケール(1〜6、2026年1月21日導入)と新旧スコアの対応: ETSの公表情報。
- 修正の履歴: 2026年8月17日にツールと対照表を修正、2026年9月に本文・FAQに残っていた旧数値を修正。いずれも運営者情報の更新履歴と当記事に記録しています。
作成・確認: 運営者「おちゃ」(ペンネーム)。最終確認日: 2026年9月15日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご指摘ください。