ホーム › 読みもの › 体験記: 阪大 生命機能研究科の院試

阪大 生命機能研究科の院試は筆記なし — 口述20分と図表1枚、受けて不合格だった記録

大阪大学大学院 生命機能研究科の入試には、筆記試験がありません。口述試験(発表7分+質疑13分)と英語のスコア、出願書類で合否が決まります。私は2024年に、東大院との併願でここを受けて、不合格でした。筆記がないことと、「TOEIC 700点くらいあれば受かる」と聞いたことが受けた理由でしたが、TOEIC 800点で出して落ちています。このページでは、2027年4月入学の募集要項で試験の形を確かめたうえで、内諾までの流れ、発表の準備、もう一度受けるなら変えることを書きます。

先に結論: 筆記はないが、口述がすべて

  • 試験は口述だけで20分(発表7分、質疑応答13分)。筆記試験はありません。
  • 発表に使えるのは、出願時に出したA4片面1枚の図表を拡大したものだけ。図とタイトルだけで、説明文は書けません。
  • 出願には、志望する教員の受入れ内諾(受入れ承諾書)が必要です。英語はスコア提出で、TOEIC L&R 600点が基準です。
  • 合否は口述・英語・出願書類を合わせた得点の上位順。私はTOEIC 800点で受けて不合格でした。
このページの内容
  1. 試験の形(2027年4月入学の募集要項)
  2. 私が生命機能を受けた理由
  3. 内諾まで: 5月にメール、訪問、受け入れの面接が2回
  4. 口述の準備: テーマ・図表1枚・7分の原稿
  5. 当日と、かかったお金
  6. 結果は不合格。もう一度受けるなら変えること
  7. 東大の口述との違い
  8. 夏季日程に向けた逆算
  9. よくある質問

試験の形(2027年4月入学の募集要項)

生命機能研究科の入試は、ほかの理系の院試と形がかなり違います。筆記で知識の量を測るのではなく、口述試験で、自分の研究を自分の言葉で説明できるかを見ます。募集要項にも「一般的な筆記試験で必要とされる網羅的な知識の量を評価するものではありません」と書かれています。要点を表にまとめます。

項目内容(2027年4月・第1年次入学)
課程5年一貫制博士課程(修士課程だけの募集はない。2年次の中間考査に合格すると修士の学位が授与される)
日程夏季: 出願 2026年6月8日〜19日、試験 7月29日、発表 8月7日
冬季(若干名): 出願 2026年10月26日〜11月6日、試験 12月1日、発表 12月11日
試験口述試験 20分(発表7分、質疑応答13分)
発表のテーマ①卒業研究、または②生命機能研究科でやりたい研究と希望する研究室。どちらかの「口述試験調書」を出願時に出す
図表A4縦の片面1枚(6部)。図とタイトルだけで説明文は書かない。当日はA1(約84cm×60cm)に拡大して掲示され、それだけを使って発表する
評価基礎・専門知識の理解度に加えて、研究対象へのこだわり、想像力、判断力など
英語スコア提出。基準点は TOEIC L&R 600点・TOEFL iBT 62点・IELTS 6.0。満たないと出願できない(TOEFL ITP・TOEIC IP などは不可)
内諾出願前に志望教員の受入れ内諾が必須。署名入りの受入れ承諾書を出願時に出す
合否口述試験・英語・出願書類を合わせた得点の上位順
出身本学(大阪大学)出身者は例年30%程度(Q&A)

出典は記事の最後にまとめています。日程は毎年変わるので、受ける年度の募集要項で確かめてください。

テーマ①の説明には「もし卒業研究が面白くなければ、『なぜ面白くないのか』を語ってください」という一文まであります。研究そのものへの向き合い方を見る試験だということが、要項からも読み取れます。

私が生命機能を受けた理由

第一志望は東大院の生命環境科学系で、生命機能研究科は併願でした。選んだ理由は3つあります。

3つ目は、結果から言うと当てになりませんでした。私は800点で出して落ちています。英語は合否の材料の1つで、口述試験と出願書類と合わせた得点で決まります。基準点(600点)を超えれば出願はできますが、点数が高ければ受かる試験ではありません。

内諾まで: 5月にメール、訪問、受け入れの面接が2回

流れはこうでした。5月に志望する先生へメールを送り、実際に研究室を訪問し、そのあと受け入れのための面接を2回受けました。内諾はもらえて、出願しました。

ここで大事なのは、内諾がないと出願そのものができないことです。夏季の出願期間は6月(2026年は6月8日〜19日)なので、そこから逆算すると、最初の連絡は遅くとも5月、できれば4月までに済ませておきたいところです。訪問と面接で先生と何度か話す時間が要るので、1回のメールで終わる手続きではないと考えておくと安全です。研究科は3月末から4月初めに研究室訪問の期間を設けていて(2026年は3月28日〜4月4日)、それ以外の時期は各研究室に直接問い合わせる形です。

最初のメールの文面は研究室訪問メール作成ツールで叩き台が作れます。訪問当日に何を聞くかは研究室訪問完全ガイドにまとめています。生命機能研究科は5年一貫制の博士課程です。私の見聞きした範囲では、半分くらいの研究室が「5年間在籍する前提で来てほしい」というスタンスでした。一方で、私の周りで入学した人を見ると、7割くらいは修士で出ています(私の知っている範囲の話で、研究科の公式の数字ではありません)。制度上も、2年次の中間考査に合格すると修士の学位が授与され、3年次に進まない場合は「修士号取得退学」という扱いになります。研究室によって考え方がかなり違うので、修士で出る可能性があるなら、内諾をもらう前に先生に相談しておくことをすすめます。

口述の準備: テーマ・図表1枚・7分の原稿

テーマは①の卒業研究にしました。口述試験調書は、要項が挙げる項目(目的、重要性、実験法とその原理、応用の可能性、社会的な意義)に沿って、「研究の背景と目的」「実験方法」「応用の可能性と社会への貢献」の3つに分けて書きました。

出願は学部4年の6月です。この時期は卒業研究の結果がまだ少なく、私の発表も「これから行う実験の計画」が中心になりました。①を選ぶ人は、結果よりも、なぜその問いを立てたのか、その方法で何が分かるのかを説明する発表になると考えておくとよいと思います。

図表は、A4の1枚に4つの図を並べました。調べたい現象、仮説、実験法の原理が2つ、という並びです。説明文は書けないので、図の中の文字はタイトルとラベルだけにしています。

発表用の原稿は約1,800字でした。書き直しは3回で、いちばん手を入れたのは実験法の原理の説明です。

当日と、かかったお金

前日に泊まりました。宿泊費は1万円くらいです。これに交通費と検定料(2027年4月入学の要項で30,000円)がかかります。東大との併願で全体の費用がいくらになるかは院試費用シミュレータで出せます。

質疑では、併願について聞かれました。素直に答えました。併願の質問への考え方は面接で聞かれたことの記事にも書きました。

結果は不合格。もう一度受けるなら変えること

結果は不合格でした。振り返って、もう一度受けるなら次の4つを変えます。

  1. 分かりやすい図にする。図表は当日A1に拡大して貼られ、それだけを使って発表します。説明文が書けないので、図を順に追うだけで話の流れが分かる形にする。
  2. 分かりやすい説明にする。7分で、初めて聞く人にも伝わる順番と言葉を選ぶ。
  3. カンペの丸暗記に頼らない。原稿を覚えて話すより、要点を自分の言葉で話せるようにする。質疑のほうが13分と発表より長く、そこは覚えた文章では答えられない。
  4. 自分の研究の深掘りに、いちばん時間を使う。評価の観点に「研究対象へのこだわり、想像力、判断力」とあるとおり、問われるのは自分の研究をどこまで深く考えているかでした。この準備はかなり必要です。

深掘りの練習として、たとえば次の問いに、原稿を見ずに答えられるかを確かめておくとよいと思います(私が実際に聞かれた質問ではなく、準備用の例です)。なぜこの問いを立てたのか。その方法を選んだ理由と、方法の原理。予想と違う結果が出たら、次に何をするか。この研究が分かると何に役立つか。研究キーワードを入れて質問を出し、声に出して答える練習には面接シミュレーターが使えます。

東大の口述との違い

東大の生命環境科学系は、筆記のあとに口述がある形で、私の感触では合否はほぼ筆記で決まっていました(東大の体験記)。生命機能研究科は逆で、試験は口述だけです。東大の口述を「必要以上に恐れることはない」と書きましたが、生命機能では口述がすべてです。同じ「面接」でも、準備の重さがまったく違います。

併願で両方を受ける場合、東大の筆記対策と、生命機能の発表と質疑の準備を、同じ時期に並行して進めることになります。筆記がないぶん準備が軽く見えますが、自分の研究の深掘りには、かなりの準備が要ります。併願の日程と入金の期限は院試併願カレンダーで並べられます。

夏季日程に向けた逆算

2026年に行われた夏季日程(2027年4月入学)の日付で、準備の順番を並べます。翌年の日付は、その年の募集要項で確かめてください。

時期やること
3月入試説明会(2026年は3月21日、オンデマンド配信)。研究科の研究室訪問の期間(2026年は3月28日〜4月4日)
4〜5月志望する教員に連絡し、訪問・面接を経て内諾をもらう。英語のスコアを出願までにそろえる
6月出願(2026年は6月8日〜19日、必着)。受入れ承諾書・口述試験調書・図表(A4・6部)・英語スコアの証明書
7月下旬口述試験(2026年は7月29日)
8月合格発表(2026年は8月7日)

英語のスコアは出願時に出すので、TOEICは結果が出願に間に合う回で受けておく必要があります。間に合う回はTOEIC目標スコア逆算の日程表で確かめられます。冬季日程(若干名)は、2026年は出願が10月26日〜11月6日、試験が12月1日でした。

よくある質問

阪大 生命機能研究科の院試に筆記試験はありますか?

2027年4月入学の募集要項では、選抜は口述試験・英語のスコア・出願書類で行われ、試験日の試験科目は口述試験です。筆記試験はありません。口述試験は20分(発表7分、質疑応答13分)で、出願時に出したA4の図表1枚を拡大したものだけを使って発表します。

TOEICは何点あれば受かりますか?

募集要項の基準点はTOEIC L&R 600点(TOEFL iBT 62点、IELTS 6.0)で、満たないと出願できません。合否は口述試験・英語・出願書類を合わせた得点の上位順です。運営者は「700点くらいあれば受かる」と聞いて受けましたが、800点で出して不合格でした。点数だけでは決まりません。

研究室訪問や事前の連絡は必要ですか?

必要です。出願の前に志望する教員と連絡を取って受入れの内諾を得て、署名をもらった受入れ承諾書を出願時に出します。内諾が得られなければ出願できません。運営者は5月にメールを送り、研究室を訪問し、受け入れのための面接を2回受けて内諾をもらいました。

修士課程はありますか?

生命機能研究科の博士課程は5年一貫制で、修士課程だけの募集はありません(第3年次への編入学はあります)。2年次の中間考査に合格すると修士の学位が授与されますが、3年次に進まない場合は「修士課程修了」ではなく「修士号取得退学」の扱いになり、受け入れの可否は研究室によって違うとQ&Aにあります。運営者の見聞きした範囲では、5年間の在籍を前提にする研究室が半分くらいあった一方、周りで入学した人の7割くらいは修士で出ていました(公式の数字ではありません)。修士で出るつもりなら、内諾の段階で志望する先生に相談してください。

出典・参照情報

  • 大阪大学大学院 生命機能研究科「2027年4月・第1年次入学 学生募集要項」: jp_d1_youkou_2027apr.pdf(試験の形・日程・図表・評価・英語の基準点・内諾・合否判定)
  • 同「入試に関するQ&A」: jp_q_and_a_0825.pdf(Q13 内諾、Q20 本学出身者の割合、Q103 修士号取得退学)
  • 同「カリキュラム概要」: 中間考査と修士の学位
  • 同「募集要項」ページ: 入試情報、「研究室訪問」: 2026年度の案内、「入試説明会」: 説明会の案内
  • 運営者自身の2024年の受験(併願、不合格)。当時の口述試験調書・原稿・図表を見直して書いています。

作成・確認: 運営者「おちゃ」(ペンネーム)。最終確認日: 2026年11月1日。誤りにお気づきの場合はお問い合わせからご指摘ください。